2022-01-12

日産と住友商事が自治体の「脱炭素化」支援事業で協業

左から、兵頭誠之・住友商事社長、内田誠・日産自動車社長、露口章・住友三井オートサービス社長

EV(電気自動車)が災害時など、いざという時の発電所代わりになる――。

「当社はこれまで多くの自治体とEVを活用した地域課題の解決活動を進めており、その取り組みは150を超えている。3社のノウハウを融合させ、全国の自治体の皆様と共に、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)社会の実現に向けて取り組んでいく」と語るのは、日産自動車社長の内田誠氏。

 日産と住友商事、住友三井オートサービスの3社が、自治体向けの脱炭素化支援で協業する。自治体が運営する施設や企業、住民に向けて、日産のEV車両を導入したり、カーシェアの環境構築を行うことで、地域の移動手段の脱炭素化・最適化を支援。住商が持つ世界的なネットワークなどを活用し、モビリティ(移動手段)とエネルギー切り口から、各自治体の脱炭素化を図ることが目的だ。

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて動き出した日本。企業は当然のこと、自治体もその対応に迫られている。

 すでに国内で「2050年ゼロカーボンシティ」を表明している自治体数は約500と、全自治体の約9割に相当。自治体における再生可能エネルギーの導入や活用は、地域の脱炭素化に貢献するだけでなく、レジリエンス(環境の急激な変化や自然災害に対応しうる防災体制・能力)の強化にも寄与する。

 ただ、地方などの自治体では再エネ導入にあたっての知見やノウハウを持った人材が不足。こうした課題を解決するため、3社の技術や知見を組み合わせて、自治体の脱炭素化に対応しようとしているのだ。

 住友商事社長の兵頭誠之氏は「グローバルで地域に寄り添った“地産地消型”の脱炭素モデルの実現を目指している。モビリティビジネスが果たす役割、エネルギー循環システムサービスを提供するビジネスの役割を総合的に、地域社会に根差した形で見つけていくことは大切だと考えている」と語る。

 近年はEVを緊急時に家庭へ電力を供給する「仮想発電所(VPP)」に見立てて、新たなサービス創出を目指す動きが加速。3社の連携で地域の特性にあったソリューション(解決策)を生み出すことはできるか。

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