2022-01-06

≪関西財界の雄≫大阪商工会議所の新会頭にサントリーの鳥井副会長が就任へ

鳥井信吾・サントリーホールディングス副会長

財界の結束が求められる



 

 大阪商工会議所会頭が、2022年3月に交代する。尾崎裕会頭(大阪ガス相談役、71)の後任に内定したのはサントリーホールディングスの鳥井信吾副会長(68)。「サントリーは大阪発祥の名門で、大商と親和性が高い」(財界主要企業)との声がある一方で、「関西財界2トップである大商と関経連のバランスが取れていたのは尾崎会頭だったから」(財界関係者)と、交代を不安視する向きもある。

 新会頭は3月に開く大商の通常議員総会で正式に決め、就任する。尾崎会頭は3年半後に開幕が迫った大阪・関西万博にふれ、「新ビジネスを生み、発展につなげるには、新たな発想と行動力が求められる。新しい時代にふさわしい会頭を迎えるべきだと判断した」と説明した。

 尾崎氏は2015年12月、急逝した京阪電気鉄道の佐藤茂雄氏(最高顧問、当時)の後任として会頭に登板。大商トップとして6年にわたり、新型コロナ禍で打撃を受けた中小企業を支援し、大阪・関西万博の資金集めなどに奮闘。バトンを受ける鳥井氏は14年から副会頭を務めて尾崎会頭を支えてきたから、路線の継承、発展もスムーズだと予想されている。

 サントリーといえば、創業者である鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」という言葉が有名で、その次男である佐治敬三氏が二代目社長、佐治氏は1985~92年に大商会頭だった。信吾氏の父、鳥井道夫氏は創業者の三男で、サントリーは生粋の「大商銘柄」。会頭企業としては申し分ない。

 大阪・関西万博については、資金集めにはめどがついているが、コロナの影響で「パビリオンの建設関係の計画が半年程度遅れている上、海外への出展誘致がままならない状態」(企業関係者)であるため、油断ができない。最後のラストスパートに、財界の結束が求められることになりそうだ。

 その意味でも、関西財界の2トップが協力することが求められるが、「独断で動くことが多い」(財界首脳)とも言われる関経連の松本正義会長(住友電気工業会長、77)のストッパー役が尾崎会頭だっただけに、大商会頭の交代は「関西財界のバランスが微妙なものになる」(関係者)可能性もありそうだ。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事