2021-12-30

東証市場再編で「スタンダード」 を選ぶ事例続々、それぞれの選択

東京証券取引所の外観

2022年4月、東京証券取引所の市場区分は「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編される。その移行申請で最上位の「プライム」ではなく、「スタンダード」を選ぶ1部企業が意外と多く出ている。

 東証は「プライム」上場の基準として流通時価総額100億円以上などハードルを設ける一方、未達の企業でも改善に向けた計画書を公表すれば当面の間、プライム上場を認める経過措置を用意した。

 このため、当初は1部上場企業約2200社の大半が「プライム」を希望すると見られた。「スタンダードとなれば、資金調達や人材採用で悪影響が大きい」(中堅メーカー幹部)との警戒感が強かったためだ。

 申請期限は12月30日で、途中経過ではあるが、市場再編が近づくにつれて現実的な対応を探る企業も少なくないようだ。みずほ信託銀行の調査によると、11月末までに1部企業のうち146社が「スタンダード」への移行を選択したという。

 島根銀行などの地銀や地方の予備校、建設会社、日本オラクルなど特定の大株主を持つ企業、コロナ禍で打撃を受けた外食、小売りなどが名を連ねている。プライム基準を満たせなかった他、中には基準を満たしているにもかかわらず、厳しい情報開示などのコストの高さを考慮してスタンダードを選ぶ企業もあるという。

 また、1部上場の地銀に対して、金融庁は「身の丈を超えた」プライム上場にこだわらないように促しており、残る地銀の選択の行方が関心を集めている。

 もう一つの焦点は大企業系列で1部に上場する「重複組」の動き。すでに、大手製造業がグループ会社を完全子会社化で非上場化することを検討しているという話も伝わる。

 一方、流通株式比率が10%と、基準の35%に大きく満たないことを理由に「未達企業」と指摘されたゆうちょ銀行は、プライム移行を目指して親会社の日本郵政に持ち株売却を急ぐように求めている。自社の企業価値向上には、どの区分が適切か、企業の試行錯誤が続く。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事