2022-01-03

どうなる? 2022年の航空業界① 伊東信一郎・ANAホールディングス会長に直撃!

国際線はしばらく厳しいが貨物便は絶好調


 ―― ANAホールディングス会長の伊東信一郎さん、コロナ禍で航空業界は大変厳しい舵取りを強いられましたね。

 伊東 21年は1年のほとんどが緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの発令があって、人の移動が制限され、本当に大変厳しい1年でした。現在は緊急事態宣言が解除され、多くの予約を頂戴しているので、年末年始にかけては、国内の移動が戻ってくるだろうと期待をしているところですが、国際線は再入国後の待機や自主隔離期間が短縮されたとはいえ、依然、「鎖国」のような体制となっていますので、しばらくは厳しい状態が続くと思われます。

 一方で、貨物は絶好調です。世界的に国際線の運航便数が減っているため、国際航空貨物の需給が逼迫している状態で、貨物専用機がフル稼働しています。

 ―― これはEコマース(電子商取引)で商品流通が活発だということですか。

 伊東 ええ。加えてアジアから米国向けの貨物が大変好調でして、半導体や自動車部品などの貨物需要は本当に強いです。

 ただ、航空業界というのは固定費が高く、コストをどう削減していくかというのは大きな課題です。コロナ禍の現在は身体を少し縮めると言いますか、構造改革をいかに進めていくかが重要なことで、大型機材の売却や、ニュースでも話題になりましたけど、賃金減額や約1600名の社員の社外出向など、コロナの収束後に向けていかに強いコスト競争力を持つことができるかということで、いろいろと取り組んでいるところです。

 ―― 外部に出向した方は何%くらいですか。

 伊東 全社員約4万5千名に対しての比率は高いわけではありませんが、ただ本当に従業員は頑張ってくれています。
今は非常事態なものですから、従業員には、今後の構造改革について協力してもらうことが大事だったわけです。ですから、われわれ経営陣も従業員の思いをしっかり受け止めるためにも、彼らとの対話を一生懸命にやりました。いかに構造改革を進めていくかが大事だと思います。

 ―― 政府は国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」を1月以降に再開する見通しですが、ここは期待できますか。

 伊東 20年秋のキャンペーンでは、コロナが収まりかけていたこともあって、観光業は非常に盛り上がり、われわれも恩恵を受けました。今わたしも地方を含めて、ホテル業界や観光業界の方々と話をしていますが、「Go To」の待望論はすごく強いです。一般の方の観光もそうですし、ビジネスパーソンも出張したいという思いがマグマのように溜まっていることを実感しますので、22年は大いに期待しているところです。

『ANA』がピーチに国内線を一部移管 ポスト・コロナの主軸は観光需要

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