2022-01-01

どうなる? 2022年の日本の働き方改革 小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長に直撃!

様々な悪循環を生んでいた長時間労働を改善


 ―― ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さん、コロナで生き方働き方が変わりました。

 小室 働き方改革は余裕のある企業がやることだと、後ろ倒しにしていた企業は、突然のテレワークで対応に苦戦されていましたね。

「テレワークで生産性が落ちた」という企業と「上がった」という企業がきれいに2つに分かれました。上がった企業の特徴は、労働時間の上限規制という法律への対応だけではなく、短時間でも高い生産性を上げられるよう、上司からの指示待ちではなく、載量を渡しながら最大のアウトプットを出せるようにしていたり、日本でイノベーションが起きない大きな要因である社員の均一性にも手を付けて、多様な人材の化学反応を起こせるようにしてきたこと。そうしたトレーニングができていたところは生産性が上がりました。

 それまでの取り組みが生きたところと、苦戦したところの二極化があったのです。

 ── 小室さんは2006年の起業しましたが、振り返っていかがですか?

 小室 起業したときは「ワーク・ライフバランス」という言葉も聞いたことがない方がほとんどでしたが、今では働き方改革コンサルティングを1000社に提供しています。

 それまで日本企業は、60年代から90年代の「人口ボーナス期(若い労働力が多い時期)」に最適化した長時間労働を男性ばかりで均一な組織で大成功してきました。その時期には正しい戦い方でしたが、90年代が終わり、人口オーナス期になると、男女共に、短時間で、多様な人で仕事をすることで、イノベーションを起こして勝っていくのです。過去の成功体験が強く、ボーナス山からオーナス山に飛び移れない企業が沢山ありました。

 そんな頃、私は起業して「新しい手法で成功できる」ことを、政府を含めて地道に説得してきました。

 2016年に政府に働き方改革実現会議ができ、18年に法改正がされるわけですが、それと同時に、新しい働き方に飛び移る意志決定をした経営者も増え、ご依頼が増えました。新しい働き方に挑戦した企業では、こんなに利益率が伸びたということをグラフにして、それをまた政府にも見せていきました。

 政府も経済界も、当初は労働時間を短くすると経済がシュリンクすると思い込んでいたわけですが、業績は落ちず、むしろ上がり、結婚数が増え、子どもが増えることがわかってきて、ようやく長時間労働が様々な悪循環を生んでいたと気付き、最終的には法改正までたどりつくことができました。バッシングを受けながらも、いつかわかっていただけると、一貫して日本経済のためになると信念を持ってやってきました。

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