2021-12-12

【金融庁】経済再生へ、中小企業への人材支援を本格化

金融庁がメガバンクなど大企業で働く管理職や専門人材を地方の中小企業に紹介する取り組みを本格化させている。

 大企業の本社で働くベテラン社員で地方への転職や出向を希望する人を専用システムに登録。紹介リストには大手行やメーカー、商社など大企業の転職・出向希望者が数百人規模で登録、地域金融機関が中小企業側から必要な経験や能力など具体的な求人ニーズを聞き取った上でマッチング。地方企業にとっては能力の高い人材を低コストで採用できる利点があり、大企業側にとってもベテラン社員のセカンドキャリア支援につながる。

 システムは金融庁が所管する官民ファンド「地域経済活性化支援機構(REVIC)」が管理しており、10月から人材紹介業を手掛ける地銀や信金などに無料開放している。

 一方、金融庁が今年実施したアンケートでは、地方の中小企業を中心に「経営を担う人材が不足している」との回答が7割近くに上った。ITや財務などに精通した専門人材も同様に不足しており、背景には、東京に本社を置く大企業に人材が“一極集中”する「都市と地方の格差」がある。

 課題は「東京など大都市にある大企業の本社で長年、働いた社員にとって地方の中小企業はなじみがないこと」(REVIC幹部)。実際、地域の実情や経営実態が分からず、転職を躊躇するケースも少なくないという。

 そこで金融庁とREVICは大企業社員ら向けに地域や中小企業の実態などを事前に知ってもらうセミナーも開催。

 コロナ禍で大きな打撃を受けた地方では、過剰債務を抱えて財務体質の抜本的な改善を求められたり、ビジネスモデル転換を迫られたりしている中小企業も多い。これらの企業が再生できなければ、地域金融機関の貸し倒れが増えて金融システム不安につながる恐れもある。今回はそうした事態を避けるための取り組みだ。

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