2021-11-25

日本M&Aセンター社長に聞く「全国約127万社で後継者不足、 この問題をどう解決しますか?」

三宅卓・日本M&Aセンターホールディングス社長



社会的使命を果たしたいと多くの人材が応募


 ─ 人材の確保は重要だと思いますが、どのように進めていますか。

 三宅 人材は常に補強しています。年間、中途採用で約100名、新卒は来期約40名を採用する予定です。

 ─ M&Aという仕事柄、報酬が高額になっていると聞きますが。

 三宅 そうですね。M&Aは難しい仕事ですし、責任が重いですから、それなりの能力、キャリアを持っている人でなければできませんから、基本的な報酬はどうしても高くなります。

 また、新卒と中途採用では考え方は違いますが、基本的には多様性を重要視しています。例えば中途採用を例に取ると、銀行出身者25%、証券出身者25%、メーカー出身者25%、商社・コンサルティング出身者25%といった形でポートフォリオを組んでいます。

 ─ この狙いは?

 三宅 例えば銀行出身者は譲渡企業の財務諸表を読むことができ、どういう会社なのかをはっきり知ることができます。そして証券出身者は新規開拓の営業力が高い。

 製造業に強いメーカー出身者も必要です。メーカー出身者は工場の機器や専門用語がわかりますから、社長と話が盛り上がり、仕事を安心して任せていただけるケースが多いんです。また、商社・コンサル出身者は論理的に会社を分析することに長けています。

 ─ 中途採用に応募してくる人達は、何を目標にしてくるんですか。

 三宅 社会的使命を果たしたいということ、そしてお客様に本気で喜ばれたいという2つの理由は、当社を志望する全員が言うことですね。

 株式譲渡契約の調印式の際には、例えば会社を創業して30年というような社長さんが、廃業しなくて済み、従業員を引き継いでもらえ、会社の名前が残ったという喜びで、涙を流して喜んでくださるんです。

 ─ 仕事をしていてよかったと思える瞬間ですね。

 三宅 ええ。そして今後、廃業が増加していくことが予想されています。約245万社の企業の社長さんの年齢は65歳以上、あと5年経てば70歳以上になるという現実があります。

 では、これらの企業に後継者がいるのかというと、半数の約127万社が後継者不在です。このまま手をこまねいていたら、この約127万社が廃業してしまうということです。我々の仕事は、これらの企業を救うことです。非常に社会的役割が大きいですし、本当に喜んでいただけたという実感がある。これが中途採用で皆さんに人気になっている理由だと思います。

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