2021-11-24

【経済産業省】原油高騰の対応に苦慮 産油国へ増産要請を開始

原油価格の高騰を受け、経済産業省が需要の増加を伴わない「悪い物価上昇」への対応に追われている。原油は、新型コロナウイルス感染拡大からの経済回復を背景に世界的に需要が増加。一方、石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」は大幅増産に消極的な姿勢を取っている。国内でも、ガソリン価格が上昇するなど、徐々に影響が広がりつつある。

 中東を中心とする産油国が増産幅の拡大に慎重な背景には、新型コロナの先行きが不透明な中、再度の需要減と価格下落への警戒があるとされる。また、イラン核合意の再建協議が進めばイラン産原油が市場へ流通し、供給過剰となることへの懸念も産油国の消極姿勢に拍車をかけているという。

 一方、コロナ禍からの経済回復に伴い原油需給は逼迫(ひっぱく)。米国産標準油種WTIの価格は、10月初旬以降、概ね1バレル=80ドル以上で推移し、85ドル台まで上昇する局面もあった。

 国内でも石油製品の価格高騰が続き、10月25日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格は全国平均で167円30銭まで上昇。冬場に需要が増える灯油も18リットル当たりの給油所店頭価格が1910円となり、ともに約7年ぶりの高値水準となった。

こうした状況を重く見た政府は10月18日、油価高騰の対応策を協議する関係閣僚会合を開催。経産省を中心にクエートやアラブ首長国連邦(UAE)への増産要請を開始したほか、中小企業向けの相談窓口の設置などにも取り組んでいる。だが、石油業界からは「日本が要請した程度で増産するなら苦労はない」(関係者)と冷めた声も出ている。

 実際、11月初旬のOPECプラス会合を目前にサウジアラビアなどが増産拡大に否定的な姿勢を示している。油価高騰が長期化した場合、経産省ではコスト増などの影響を受ける中小企業向けに更なる支援拡充が求められそうだ。

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