2021-11-22

【政界】第2次岸田文雄内閣が本格始動 問われる経済安保と成長政策

イラスト・山田紳



対中国も岸田流で?

 中国とどう対峙し、どう渡り合うのかが注目されるタイミングで甘利が表舞台から「退場」した。

 安倍政権では、安倍をはじめ保守色が濃い議員が閣内に配置され中国に強硬姿勢を示してきたが、親中派の二階俊博を自民党幹事長に置くことでバランスをとってきた。岸田政権は、政府と自民党を真逆の立場にすることでバランスをとるはずだった。甘利辞任を受け、小林は「引き続き与党としっかり連携をとっていく」と述べたが、対中強硬路線と融和路線のバランスは崩れた。経済安保政策にも微妙な影響が出そうだ。

 甘利の後任幹事長の茂木は、日中国交正常化を果たした元首相、田中角栄が派閥会長を務めた自民党経世会(田中派)の流れを汲む平成研究会(旧竹下派)に所属する。保守系議員の支持の厚い高市早苗が政調会長にいるとはいえ、対中強硬路線の動きは鈍化しそうな雲行きだ。

 岸田は衆院選直後の11月2、3両日、イギリスで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の首脳級会合に出席した。脱炭素社会の実現は経済安保の重点5分野のひとつ「エネルギー」と密接に関係する。成長戦略にもつながる。

 世界最大のCO2排出国である中国(世界全体の排出量の28%)のCO2対策をどう考えていくか─。中国の生産物を輸入する日本・米国・欧州もその責任の一端を担う。ただ中国を批判するだけでは解決しない。CO2削減にどう知恵を出していくか。岸田の真価が問われるのはこれからだ。

 経済と国防という2つの安全保障の分野で政府と自民党の役割分担がなくなったいま、「岸田流」がどう効果を発揮するか。この解決策づくりを国内外が凝視している。 (敬称略)

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