2021-11-22

【政界】第2次岸田文雄内閣が本格始動 問われる経済安保と成長政策

イラスト・山田紳



政府と党の役割分担

 その役目は、岸田政権で自民党幹事長に就いた甘利明や、副総裁兼財務相から党副総裁に迎えられた麻生太郎らが担っていた。「岸田流」を貫くため、明確な「役割分担」であり、「チームプレー」だったのだ。

 野党攻撃の口火を切ったのは甘利だった。「立憲民主党と共産党が候補者の一本化を図り、勝利した場合、閣外協力をするという。今回は体制選択の選挙だ。日本の政治史上、初めて共産主義の考え方が政府に入ってくるかどうかの戦いだ。私どもは自由と民主主義を守っていかなければならない」

 衆院解散直後の10月15日、岸田と首相官邸で会談した後、甘利は記者団にそう語り、立憲民主党の政治理念なき「共闘」路線を批判。選挙期間中も街頭演説などで繰り返し訴えた。

 麻生も応援演説などで「いま立憲共産党になっている。共産党は確か天皇制反対、自衛隊違憲、日米安保条約に反対。そういう政党と立憲民主党は『共闘』しており、日本の舵取りを任せるわけにいかない」と野党攻撃を続けた。

 麻生、甘利とともに頭文字から「3A」と呼ばれた元首相・安倍晋三も同じ。首相在任中に安全保障関連法を整備して強固な日米同盟関係を築き、覇権主義的な動きを強める中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮に睨みを利かせてきた自負がある。

 街頭演説では「共産党の力を借りて立憲民主党が政権を握れば日米同盟の信頼関係は失われる。世界の平和と安定を維持していくため、私たちは絶対に負けるわけにいかない」などと訴えた。

 岸田も衆院選最終盤になって、役割分担していることをインターネット番組で明かしている。「北朝鮮が弾道ミサイルを発射するとか、中国とロシアの艦隊が日本列島の周りで訓練をしているとか、不透明な状況にある中で、国民の命や暮らし平和を守る。共産党と手を組むことによって政権を取ろうとしている方々が本当に責任を担えるのか。こういった言い方をしてもらっている」

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