2020-12-16

パナソニック次期社長に保守本流・楠見常務が昇格へ

津賀一宏パナソニック社長と握手する楠見雄規次期社長

パナソニックはトップ交代人事と2022年4月に持ち株会社への移行を発表した。21年4月1日付で、津賀一宏社長がCEOを退任し、常務執行役員で社内カンパニーのオートモーティブ社社長を務める楠見雄規氏(55)がCEOに就任する。

 楠見氏は京大院修了の1989年に入社。津賀社長と同じ研究開発畑出身で、AVCネットワーク、アプライアンスなど幅広い事業を経験している。役員に就任したのは49歳だった2014年。「頭の回転が速い切れ者。ここ数年、社長候補と言われてきた」(50代社員)。

 近年の同社は元日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏を代表取締役専務に迎えるなど外部人材登用を進めただけに、楠見氏の社長内定は「保守本流」(同)と捉えられた。

 楠見氏の最大の課題は、22年にスタートする持ち株会社体制を作り上げ、ソニーなど他社に比べて劣る収益力を回復させること。持ち株会社化では8つの事業会社に分社し、現在のパナソニックは分割子会社の株式を保有する「パナソニックホールディングス(HD)」となる。

 実は、「持ち株会社への移行は既定路線」(関係者)。昨年10月、49人いた執行役員を16人へと大幅に減らし、執行役員はグループ全体の経営を担うポストに限定、社内カンパニーの権限を強めていた。現在は5つの社内カンパニーがそれぞれ事業を抱えているが、新体制では、カンパニーや事業会社が傘下に抱える事業数が3つ程度となる。

 楠見氏は、新しい組織を「創業者の時代に近い形になる」と説明する一方、競争力がない事業については「冷徹かつ迅速な判断でポートフォリオから外していく」と宣言した。

 創業者の松下幸之助氏は1989年4月に亡くなった。楠見氏が入社した直後で、楠見氏は創業者を知る最後の世代。創業者は事業部制を採用し、それぞれの事業部に「自主責任経営」の徹底を求めたことで知られる。楠見氏は持ち株会社制の移行によって、同社を成長軌道に乗せることはできるか。

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