2021-11-16

売上高目標10兆円!【大和ハウス ・芳井敬一】がポートフォリオの基軸に据える『まちの再耕』

大和ハウス工業社長 芳井敬一

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創業者の経営理念を受け継いで

 創業から66年、売上高は2022年3月期で4兆3000億円、営業利益3200億円、純利益2150億円と増収増益の見通し。

 創業者・石橋信夫は100周年の2055年に売上高10兆円を目指すとした。

 売上高1兆円から2兆円になるのに12年かかった後、2兆円から2019年3月期で4兆円台を突破するのに6年で到達という経緯。2055年まで34年あり、今の成長スピードでいけば、十分に達成可能な数字だ。

 社会が求める事業を興していく──という創業者の理念を実践してきたことが今の実績につながっている。

 今後、創業理念をどう活かしていくのか。

「創業者は、事業を通じて2つ位しか言っていないんです。1つは人を育てよと言っている。2つ目は、自分たちがあげた利益は従業員の生活に直結しなければならないと言っているんです。社是の2つは、冒頭のこの2つです。3つ目に言っているのが、自分たちが汗をかいてつくり出した商品は、社会に貢献することと書いている。4つ目は一致団結するぞとか、精神的な内容ですね」

 1962年(昭和37年)の堺工場で講話があり、それを読んだ時、芳井氏は体が震えたという。

「説明の中で、会社の利益はみんなの生活に直結しなければいけないと。家庭に不安があったり、飲まず食わずになったら、頑張られへんやろと。だから会社があげた利益は、あなたたちの生活環境に絶対直結するのだと。明確で分かりやすい言葉でそう言っています」

 芳井氏は途中入社組。大学卒業後、社会人ラグビー選手として神戸製鋼のグループ会社に入社。交通事故に遭って8カ月の入院を余儀なくされ、1990年、32歳で大和ハウスに入社した。

 神戸支店での法人向けの営業担当となり、社屋、工場、倉庫を立てる仕事に奔走。同支店の建築営業所長になった年に、支店長から「支店長公募試験を受けたら」と勧められ、受験し、合格。

 当時の神戸支店長の推薦があって受験の機会をもらったことに感謝し、その恩返しのため、自らも人材の育成、掘り起こしに傾注していきたいという。

 経営者に必要なのは、強さと優しさ。創業以来のその精神を受け継ぎながら、事業拡大と経営の構造改革が続く。

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本誌主幹 村田博文

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