2021-11-16

売上高目標10兆円!【大和ハウス ・芳井敬一】がポートフォリオの基軸に据える『まちの再耕』

大和ハウス工業社長 芳井敬一

全ての画像を見る


今後は〝 ストック・ビジネス”が増える!

 今後の課題は、各事業の中身をどう時代のニーズに合わせたものにしていくかということ。そして、タテ割りの事業部間で連携できるものや、連携でさらに付加価値を高められるものの追求をどう進めていくかである。

 例えば、大和リビングの手がける賃貸住宅管理にしても、新築よりも住宅ストックが多くなり、取り扱い件数が逆転。

「ええ、ストック型のビジネスをもっと充実させていかなくてはと考えています」

 芳井氏は長年、住宅を建設してきて、そのストックが蓄積しており、そのために保守管理や改築などのサービスの充実が大事と次のように続ける。

「大和ライフネクストのような領域でも、マンション管理を通じて、古いマンションの建て替えとか、そういったニーズに届いていきますからね」

 同社がこれまで建築した戸建住宅、賃貸住宅、マンションの累計は約187万8000戸(2021年3月末現在)。

 また流通店舗や医療・介護・福祉施設、物流施設など商業建築事業は約5万4900件(同)。

 大和グループ自らが運営する有料老人ホーム、リゾートホテル、ゴルフ場、フィットネスクラブ、エステティックサロン、それに都市型ホテル、ホームセンター、カーシェアリング拠点は全国で4539カ所にのぼる(同)。

 日本の社会構造は大きく変化。人口減、少子化・高齢化が進み、全国住宅着工件数も減少。

 1996年に住宅の新規着工件数は163万戸とピークを打った後2020年度は80万台を切った。2030年頃には約60万戸になるという予測もある。

 国内の住宅・賃貸、マンション事業というのも、新築の比重よりもストック・ビジネスのそれが増えていくことになろう。

 かつて手がけた〝まち〟を再耕する──。〝まち〟を元通りに再生するのではなく、新たな〝まち〟の魅力を創ると芳井氏は次のように語る。

「これから将来に向かって、自分のところが空き家になりそうだとか、リフォームしたいとか、生き方・働き方に関連して、都心から郊外や自然豊かな所へ引っ越したいとか、いろいろな相談ができるような立ち位置にしていきたいと思っています」

 これは、ソリューション・ビジネスの1つ。環境変化に伴い、企業も個人も新しい課題が生まれ、その解決策が求められる。

なぜ今、再耕か?

 再耕──。大和ハウスの造語だが、このことについて、芳井氏が語る。

「期待と共に、住民の皆さんには、今何をして欲しいかという思いがあります。そういったものを僕たちがいろいろな形でお手伝いできるようにしようよというのが再耕です」

 1960年代からの高度成長期に、住宅はどんどん建てられた。人口は増え、地方から大都市へ就職者が移動し、東京や大阪など都市部はもちろん、地方でも県庁所在地を中心に戸建や集合住宅・団地づくりが進められた。

 それから半世紀以上が経ち、都市、地方を問わず、空き家が目立つ。

 日本の人口は2008年の1億2800万人強をピークに、下がり始めた。1人(単身)世帯も増え、それに伴い、消費行動やレジャーも変化。

 平均寿命が男女共に80歳以上となり、健康長寿が大事なテーマになってきた。

「人生というか、わたしも母親の最後を看取るなどしてきましたが、ありがとうという言葉、よかったという人生、それは目をつぶる時だと思うんですよね。最後がそうじゃなかったら、ありがとうと思わないかもしれない。そうしたことを含め、住まいの部分で大和ハウス
としてはしっかりお手伝いしたいと思っているんです」

 具体的に、再耕を事業として、どう進めていくのか?

〈編集部のおすすめ記事〉>>社会課題解決を資金面で支える【READY FOR・米良はるか】の コロナ危機の今こそ、「人と人のつながりを」

本誌主幹 村田博文

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事