2021-10-31

NTTコムの『ライブ配信技術』は苦境の音楽業界に光明をもたらすか?

NTTコムの技術基盤を採用した、サンボマスターのライブ配信の様子

次世代の事業の柱を生み出すことができるか?


 2021年7月24日、結成20周年を迎えたバンド・サンボマスターのツアー「サンボマスター 真 感謝祭~ホール&レスポンス~」が最終日を迎えた。会場は大阪城音楽堂。だが、コロナ禍で足を運べないファンが多い状況だったこともあり、リアルタイムで自宅から楽しめる「ライブ配信」も同時に行った。

 このライブ配信基盤「Smart vLive for Music」を提供したのがNTTコミュニケーションズ。「コロナで多くの産業がダメージを受ける中、ITの会社ができることがあるのではないか議論していた」と話すのはサービス開発に携わった、NTTコムビジネスソリューション本
部ソリューションサービス部第二マネージドソリューション部門担当部長の金子憲史氏。

 このサービスは、金子氏が社内のビジネスコンテスト「DigiCom」に応募したことから生まれた。このコンテストは19年まではスマートフォンのアプリケーションを開発して、そのデモンストレーションを行い、技術や新たな世界観を提案するという色彩が強かった。

 だが、コロナ禍など社会情勢が大きく変わり、NTTコム自体も事業構造を見直す必要に迫られた。音声関連事業やデータ通信を支えるインフラ事業が縮小傾向にある中、より付加価値の高い事業をつくっていくことが求められたのだ。そのため「DigiCom」も、会社の次世代の事業の柱をつくるという目的に変わった。

 20年の応募は緊急事態宣言下の5月に始まった。金子氏は19年に続いて手を挙げたが「社会情勢に対するソリューションを出すことが、次世代のNTTコムの事業の柱を生むことにつながる」という思いがあった。

 なぜ、ライブ配信だったのか? 金子氏は映像配信・映像コミュニケーションの仕事に長く携わってきた経験がある。その強みを生かせる分野を探す中で音楽、特にライブに着目した。

 ぴあ総研の調べによると、19年のライブ・エンタテインメントの市場規模は約6300億円だったが、20年はコロナ禍の影響で約1300億円にまで落ち込んだ。「最初は、この状況をオンラインでサポートできないか? という発想だった」(金子氏)

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