2021-11-01

スゴすぎる!【レノバ 木南陽介】の再生可能エネルギー論「いろいろな企業・地域と の連携で日本の強さを!」

レノバ社長CEO 木南陽介氏

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風力開発に不可欠な技術者集団を持って

 再生エネの掘り起こしを進めていくにあたり、これから伸ばす余地があるのは風力、バイオマス、地熱発電。特に四方を海に囲まれた日本は、風力でも潜在力を持つ。有力候補地は、偏西風が当たる、日本海側に多い。経産省は『促進区域』、『有望な区域』などを指定し、風力の開発を促している。促進区域はこれまで、長崎県五島市沖、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、同県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖の4カ所が挙げられていたが、最近、秋田県八峰町・能代市沖が加わり、5カ所になった。

 レノバはこの中で秋田県南部の由利本荘市沖に注力、準備を進めている。
 洋上風力の風車はまさに巨大装置。
「ええ、海の中に巨大な200㍍の高さの建造物をつくりますので、こんなものが傾いたり倒れたりするのは一切あってはいけないと。巨大な橋脚をつくるようなものです」と木南氏。

 風車の高さは、タワーの部分だけで100㍍位あり、ブレード(羽根)のヘッドまで入れると200㍍にもなる巨大なもの。
 それを海の底に建てる。水深が30㍍だとしたら、その海の底からさらに40㍍の杭を打つ。
 そうした風車を沖合に約70 本建てるという計画。文字どおり、設計、土木、建築、エンジニアリング、機械、船舶といった分野での技術者の存在も不可欠だ。
「社内にエンジニアリングチームを抱えているということが大事でして、われわれは全部この機能、インハウスを持つ会社なんです。この分野もいろいろな会社さんの参入があるんですが、もともとの電力会社さんというのは、全部こういう機能を持つ側なんです。ところが、投資会社さんだとかはこの機能を持たないんですね。そこで外注するわけです。人が持ってきた案件に乗る。だからデューデリジェンスで評価をして、金を張るということをやる。ファイナンスで引っ張るということをやるのですが、エンジニアリング力で臨むのではない。われわれはここに強みがあると思っています」

 建設候補地の立地、地理的条件、気象などを勘案して、設計から建設、そして運転、保守、修繕までを一気通貫でやれるエンジニアリングチーム。
「波があれば地震もあれば台風もあれば雷もあるというのに耐える施設をどうつくるか。しかも安定的に20年連続での耐久性も求められます」
 独自の技術者集団の強みを発揮していくという木南氏。

 また、我が国の通信改革時に第二電電(現KDDI)設立に動き、イー・アクセス(現ワイモバイル)を創業した起業家の千本倖生氏も同社の経営に参加。現在、会長をつとめている。

日本の技術、人材の潜在力を掘り起こして

 欧州や中国などに後れを取った風力発電。風力の羽根やその他の器材製造から三菱重工業など国内大手が撤退、縮小している。こうした大手出身の技術者もレノバ技術部隊に加わり、新天地で踏ん張る。
 これからが日本の風力を含めた再生エネ事業の反転攻勢だ。
 昨年12月、官民協議会が開かれ、日本は「洋上風力で最大45ギガワットを目指す」と高らかに宣言した。これには、ヨーロッパ各国や、風車メーカーなど関連産業関係者が目の色を変えた。
 ギガワットは電力量を示す単位。1ギガワットは100万㌔㍗で、原子力発電所1基の発電能力に相当する。そこで、日本で総計45ギガワットの風力発電所をつくろうという構想である。
 世界の風力発電量ランキングでは、日本は21位(2020年)。1位中国、2位米国に続いて、3位にドイツ、4位インドが来て、あとは北欧や欧州各国などが並ぶ。
 欧州は平均風速9㍍(秒速)以上の風が吹き、日本はそれより弱いという地理的条件が風力発電にはつきまとう。
 日本では、洋上風力が可能な条件として、『年間の平均風速7㍍以上の風が吹き、20平方㌔㍍のまとまった面積を確保できる場所、かつ水深は40㍍までの地域』とされる。
 政府はこうした地理的条件を考慮して、再生エネ海域を選定。先述のように、『促進区域』は5カ所、『有望な区域』(青森県沖合、千葉県いすみ市沖など7カ所)、そして準備段階の区域(北海道檜山沖、福井県あわら市沖、福岡県響灘沖など10カ所)の合計22カ所。まだ開発の余地はある。

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本誌主幹 村田博文

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