2021-10-25

【政界】「新しい資本主義」に向けた具体策とは?岸田首相の真価問われる衆院選

イラスト・山田紳

※2021年10月20日時点

第100代の首相に選ばれた岸田文雄にとって目の前の課題は党内融和による10月31日投開票の衆院選の勝利となる。野党の支持が伸び悩む中、自民・公明両党の勝利は底堅いとみられるが、第6波の懸念がある新型コロナウイルス対策は続く。また支持率も50%台と低いが、考え方によっては「新しい資本主義の実現」「分配なくして成長なし」に一定の評価があるということ。支持率を上げていけるか。その試金石が衆院選となる。

地味な首相

 4日に内閣を発足させ、最初の記者会見に臨んだ岸田は「私が目指すのは『新しい資本主義』の実現だ」と抱負を語り、国民の声を丁寧に聞く政治を打ち出した。

 岸田はこれまでの首相像とは違った印象の政治家だ。自他ともに認めるまじめな性格でおとなしく、政界随一の「いい人」と評される。裏を返せば政治家に特徴的なアクの強さがない。面白みのない地味な存在ともいえ、古くは吉田茂や田中角栄、最近では安倍晋三や麻生太郎といった個性豊かな歴代首相とは明らかに異なる。

 そんな岸田が就任早々、衆院選に臨むことになる。今回の衆院選は異例ずくめだ。本来の任期満了は21日だったが、もともとの任期を超えて衆院選が実施されるのは戦後初めて。首相就任から31日の衆院選投開票までの期間は現行憲法下で最短の28日間となった。

 これまでは鳩山一郎(1955年衆院選)の81日目が最短で、就任1カ月も経たずに国民の審判を受ける岸田は大幅な記録更新となる。ちなみに鳩山率いる日本民主党は躍進して第1党になった。

 首相就任間もない衆院選は日程上の問題であり、岸田の意思とはあまり関係ないが、短期間でいかに岸田政権、自民党の魅力をアピールできるかが重要になる。

 党・内閣の布陣を見ると、気配りを欠かさない岸田の性格がにじむ。幹事長には総裁選の後ろ盾となった麻生派の甘利明を据え、政調会長には総裁選を争い、決選投票で「1位・3位」連合を組んだ高市早苗を起用した。なお、総裁選では元首相の安倍晋三が高市を全面的に支援した。改めて大きな影響力を誇示した安倍への岸田の配慮がうかがえる。

 総務会長には、若手代表として衆院当選3回の福田達夫を抜擢。一方、8年9カ月にわたり副総理兼財務相を務めた麻生太郎を党副総裁に迎え入れた。

 閣僚では、官房長官に最大派閥の細田派から松野博一、財務相に麻生の義弟の鈴木俊一を起用した。20人の閣僚の内訳をみると、細田派から4人、第2派閥の麻生派から3人を登用した。

 総裁選で岸田支持でまとめた外相の茂木敏充が会長代行を務める第3派閥(当時)の旧竹下派からは再任の茂木を含め4人。自身が率いる第5派閥の岸田派は党幹部での起用はなかったが、閣僚は3人、「反岸田」だったにもかかわらず、第4派閥の二階派から2人で、派閥の勢力にほぼ比例した配置となった。

 女性3人、参院3人はオーソドックスな割合で、初入閣13人は新鮮さも与える。

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